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 米国ガイドライン官報  2010年9月1日、米国特許庁は官報により、KSR判決以後の進歩性に関する審査基準を改訂した。
 その官報の原文はこちらです。
注目国内判決 知財高裁判決(除くクレームの例外的扱いを修正)>平成20年5月30日に知財高裁大合議判決(平成18年(行ケ)第10563号審決取消請求事件)が出された。
 いわゆる「除くクレーム」補正(訂正)については、審査基準では、「なお,請求項に係る発明が,先行技術と重なるために新規性等(第29条第1項第3号,第29条の2又は第39条)を失う恐れがある場合に,補正前の請求項に記載した事項の記載表現を残したままで,当該重なりのみを除く補正(『除くクレーム』)は,例外的に,当初明細書等に記載した事項の範囲内でするものと取扱う。」としている。
 これに対して、本判決は、「除くクレームとする補正についても当該補正が明細書等に記載した事項の範囲内においてするものということができるかどうかについては,最終的に,明細書等に記載された技術的事項との関係において,補正が新たな技術的事項を導入しないものであるかどうかを基準として判断すべきことになるのであり「例外的」な取扱いを想定する余地はないから,審査基準における「除くクレーム』とする補正に関する記載は, 『上記の限度において特許法の解釈に適合しない」と判示した。
 要するに、本判決は、除くクレーム補正であっても、当初明細書等に記載した事項の範囲内なら認め、そうでないなら否定されるべきという原則の下で扱われるべきとした上で、現審査基準が、除くクレーム補正をその原則の例外扱いしているかのごとくなっているのを批判したものと考えられる。
注目国内判決 知財高裁判決(限定的減縮補正を認めず)>知財高裁は、平成20年2月27日、”補正前の特許請求の範囲が、「二次電池用・・・ホスト材料の中に既に分散されているリチウム金属と,を含む・・・アノード。」であるものを,「二次電池用・・・ホスト材料の中に既に分散されているリチウム金属とを含み,前記アノード内のリチウム金属の量は,前記アノードが再充電される場合・・・十分な最大の量以下である・・・アノード。」とする補正を拒絶査定後にした場合において,補正前の記載では,「アノード内のリチウム金属の量」について全く記載されていないから,本件補正は,特許請求の範囲を減縮するものであったとしても,発明を特定するために必要な事項を限定するものではないから,特許法17条の2第4項2号の事項を目的とするものとはいえず,本件補正を却下した審決の判断に誤りはない。”と判決を下した。
 この判断は、拒絶査定後などの補正の出来る範囲を限定している、特許法17条の2第4項2号について新たに解釈を下したものであり、その実務上の影響は大きいといえる。この判決については、特許庁の審査基準の事例も含めて、厳し過ぎると思うが、その当否はさておき、今後実務家はこの判決の判断に沿って拒絶査定後などの補正手続についてより一層慎重にならざるえなくなるだろう。
注目国内判決 最高裁判決(リサイクル・インクカートリッジ侵害判断>最高裁は11月8日、特許権者が譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされることにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,特許権を行使することが出来るとして、特許権者であるキャノンの勝訴判決を下した。この判決では、「同一性を欠くか否か」は当該特許製品の属性,特許発明の内容,加工及び部材の交換の態様のほか,取引の実情等も総合考慮するとされている。その結果権利者側、リサイクル業者側にとっていまひとつ侵害の有無の予測が難しい基準と思われ、今後の判例の積み重ねを待たざるを得ないであろう(平成18(受)826)。なお、ちなみにこの判決の翌日の9日、同様のインクカートリッジ侵害事件について、最高裁は今度は特許権者のエプソン側の敗訴判決を下したが、このエプソン判決は、そもそもエプソンの特許権を無効としたもので、当然消耗理論など関係なく、エプソン側の敗訴としたに過ぎない。

注目国内判決

知財高裁判決(立体商標の識別性についての判断)>立体商標自体は既に認められているが、平凡な形状のため他社製品と区別が出来ない場合は商標登録は認められない。しかし長年の使用によりその立体形状で自他商品を区別出来るようになった場合は、商標の登録が認められる。本知財高裁判決はそれを肯定した判決である。判決は、この商品について、米国発売以後の形状不変性、国内多数販売性、デザイン強調広告の実施-等の点を指摘して、「使用によって識別性を獲得した」とした(平成18年(行ケ)10555)。
注目海外判決

特許虚偽表示に関する米国高裁判決(Pequignot Solo Cup Co.事件2010610
 最近アメリカでは、マーカトロールともいうべき人達が現れております。この人達は、販売されている商品の特許表示をチェックして、すでに特許期間が過ぎているにも関わらず特許表示をしている場合、訴訟を起こしています。詳しくはこちらをご覧願います。こちらの文章はJETROからの引用です。

注目海外判決 In re Bilski 事件の米国高等裁判所判決(CAFC)(ビジネス発明の特許成立性の判断) 
 2008年10月30日に注目の判決が下された。
 経過
 Bilski出願の発明は、いわゆる「ヘッジ取引」に関するアイディアです。そこでは、コンピュータ等のハードを利用する限定は含まれていません。購入者、販売者、定価、取り引きを行う、などの限定があるのみです。
 審査官と審判部は共に101条(発明の成立性)の「Process」に該当しないとして発明の成立性を拒絶しました。Bilski等はこれを不服として高等裁判所(CAFC)へ提訴しました。いわゆるビジネス方法発明について、ドラスティックな判決が出る可能性が指摘されていました。
今回の判決(多数意見)
 過去の数多くの最高裁判決を取り上げ、それらが主張しているのは、結局、「上記101条のprocess発明と認められるのは、machine-or-transformation testに合格した場合である」と解釈しました。
 その中で、いわゆるビジネス発明の大量出願のきっかけとなった、ステートストリートバンク判決で触れられた、「useful、concrete、tangibleであれば、ビジネス発明といえでも排除する理由は無い」というルールは、発明の成立性を判断するには不十分であり、より明確な上記testが適切であるとしました。
 多数意見は、このtestに照らして、Bilski等の発明は、なんら物理的な変形(transformation)或いは物理的存在を示す電気信号の変化(transformation)を生ぜず、単に権利の変更(transformation)などを定義しているに過ぎないと指摘して、成立性を否定しました。
他の裁判官の少数意見
 DYK等裁判官:1973年当時の憲法まで遡り、その時点の判決などから、processは製品、機械、物質の利用又は作成プロセスに限る解釈をすべきという立場から、多数意見に賛成し、Bilski発明を否定しています。
 NEWMAN裁判官:多数意見は内容が不確かであるためこれまでの特許を不安定化し、これからの技術革新への過度の制約である、として多数意見に反対しています。
 MAYER裁判官:米国の憲法の特許制度は、ビジネスの発展ではなく、科学と技術の発展を振興するために設立されており、Bilski発明を否定すべきは勿論、ステートストリートバンク判決も否定すべきである。多数意見の結果は良いがそのtestでは不確かであるとしています。
 RADAR裁判官:多数意見の結果には賛成するも、その理由には反対。米国の101条は、自然法則、自然現象、抽象的アイディアの3種類を不成立としている(Diehr判決)。それ以上、今回のmachine-or-transformation test といった、却って混乱をまねくテストは導入すべきでない。Transformationとは何かなど新たな疑問が出てくる。また将来の革新的な技術の登場に対して制約ともなり得る。そもそもBilski等の発明は抽象的アイディアであり、それを根拠に否定すべきであると主張。 
 今回のCAFCの多数意見には色々問題がありそうで、さらに、最高裁の判断が欲しいところです。
注目海外判決 AT&T v. Microsoft 米国最高裁判決(ソフトウェアOSを米国から輸出する場合の間接侵害問題についての判断)>特許装置の部品を米国から外国への輸出した場合の米国特許権に対する侵害の判断において(法271(f))、部品がソフトウェアの場合の適用解釈を示した。最高裁は、地裁、高裁の判断を逆転し、マイクロソフト勝訴の決定をした。ソフトウェアの情報性がポイントである。この問題は、ソフトウェアが通常の物とは質的に異なることから発生している。従って、本質的な解決はそう簡単では無い。
注目海外判決 KSR v. TELEFLEX米国最高裁判決(米国進歩性基準についての判断)>進歩性の判断基準のハードルを従来よりあげた。日欧の進歩性基準へ接近する動き。グローバル経済のもと、進歩性の判断基準の世界的な統一は必然であるが、法の安定性から見て朝令暮改でも困る問題である。
 上記AT&T v. Microsoft事件米国最高裁判決の日本語訳文(松田翻訳)
 Whelan v. Jaslow事件の米国控訴審判決(プログラム著作権侵害)の紹介。
 
知財判例検索(裁判所tool。キーワードも利用できます)
 
商標制度の注意点

A. 多くの企業は事業を開始する1,2ヶ月前になって、出願したい商標マークを依頼されて来ます。しかしそのマークを他の企業が既に商標権を取得していた場合、使用中止に追い込まる可能性が出てきます。
  従いまして、先ずは、使用したい商標マークを出願し商標権を取得しておき(約半年~1年半掛かります)、それから事業に使用することが原則です。

 B.
出願を依頼するにあたって最初から明らかに無理なものは企業の常識として知っておく必要があります。
 以下に商標登録を受けることが出来きない商標の各種例を示します。

1.自社商品(サービス)と他社商品(サービス)とを区別できるマークであること。
   例えば以下のマークは不可です。
 「時計」という商品について、「時計」というマーク
   「清酒」という商品について、「正宗」というマーク
 「宿泊施設の提供」というサービスについて、「観光ホテル」というマーク
 「洋服」という商品について、「銀座」という販売地を意味するマーク
 「ブラウス」という商品について、「シルク」という材料を意味するマーク
 「薬」という商品について、「万能」という効能を意味するマーク
 「自動車」という商品について、「デラックス」という品質を意味するマーク
 「運送業」というサービスについて、「関東一円」という営業圏を意味するマーク
 「フランス料理の食堂」というサービスについて、「高級料理」というサービスの質を意味するマーク
 「パソコンの指導」というサービスについて、「1週間コース」という期間を意味するマーク
 「テニスのレッスン」というサービスについて、「週2回5000円」という価格を意味するマーク
 「鈴木」、「佐藤商会」といった、ありふれた氏又は名称を普通に用いる方法で表示するマークのみの場合
 「球」、「一本の直線」といった、極めて簡単且つありふれたマークのみの場合
 「大切なお金で上手なお買い物」のような、キャッチフレーズ
 但し、上記のようなマークであっても、既に使用した結果、需要者が、何人かの商品(サービス)であることを認識できるようになっているものは登録されます。

2.公益や私益を保護するため、不可の場合があります。
 例えば次のようなマークです。
 国旗、国際連合、地方公共団体
 猥褻なマーク
 誹謗中傷マーク
 同意を得ていない他人の肖像、氏名、名称
 特定の博覧会
 需要者に広く認識されている商標と類似であって、類似な商品(サービス)に使用するマーク
 先に出願され登録されている商標と同一、類似であって、同一、類似な商品(サービス)に使用するマーク
 ビールという商品について「××焼酎」というマークのように、品質の誤認の恐れがあるマーク
 外国において広く認識されている商標と同一、類似のマークであって、不正の目的で使用するマーク

注)なお、上記各種例が不可であるためには更に他の条件が必須になる場合があります。

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